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■2009/09/19〜21

笠堀川支流・大川

南谷(フリー)

新発田(記)

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笠堀ダム湖の遊覧船は今はなく、売店と食堂も営業していない。数年前に下見に来た時はどちらも営業していたのだが・・・月日の流れというものか?

一日目、(晴れ)

夜明けとともにダムサイト駐車場に到着。県外ナンバーがすでに一台止まっていた。
「釣りかな?」
「光来出沢でしょう!?」
「登山者か、カモシカウォッチャーかも知れない・・・」と、我々2名は勝手に想像しながら出発した。
一時間ほど歩いた杣道は手入れも悪くなり歩き憎くなる。そんな時、茂みの中より微にうなり声がする。
「聴こえた?、熊だよね!」
今回ガイドして頂く南谷さんと確認し合う。
(見えない野獣はかえって不気味に感じる)
「・・・また聴こえた!」
山の主は我々を威嚇しているつもりなのだろう。
すばやく南谷さんが笛を吹いた。私もオクターブ違う笛をピーピー鳴らす。歩くスピ ードを幾らか速めに、その場を離れた。
その後、鎖場やむき出しの岩場を幾つか越え、立派な松の樹を見送りながら光来出沢へ下る。途中からはコンクリートの階段だ。白い河原と穏やかな流れを横切 り、向う岸に渡った。又もや階段があり、とにかく急な段差で短足泣かせで閉口する。一度トラバース気味に薮を横切る。再度階段が出た(登ると無人雨量計測 所があるらしい)。少し降りて大川右岸を進む。太いクマ笹をかき分けしながら、やがて滝の音がし、その名も『音滝』上部に出る。早々ザイルを出して大川の 河原に降り立った。

『音滝』

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遡行開始30分もしないうち、早々泳ぎを強いられる。私が空身で流れの緩い左側を泳ぎ切る。付けたザイルが20mで間に合った、セカンドと2個のザックを一緒に引っ張る。その後も つぎつぎに大小のゴルジュと廊下が現れる。泳ぎの連続でさいわいザックは担いだままで遡行出来た。

ワシガ沢の手前では右岸を高巻く。
最難所で廊下帯のド真ん中、下の水流が見えなくなってしまう。およそ20mの高さで、10mほど水平(やや斜め)移動する。ちょうど樹があって(*ヤマボ ウシ)その枝に掴まる危険な岩棚だった。ハーケンに、繋ぎ合わせのシュリンゲと細引やらの残置があり。我々も自分達のザイルを降ろしそこを懸垂下降した。

降りた所は、ほぼワシガ沢出合だ。時間は13時、コンビニおにぎりを食べる。ただ、身体が冷えて落ち着けない。難所は断続し、釜と1mの滝を越える のに、対岸の滑り台状の岩に上がらなければならない。空身の四ッんばで、指先と足のつま先にフリクションを効かせ這い上がりに成功。4m程の高巻と下降で あった。

直ぐに泳ぎとなり、南谷さんが空身で取り付く。左カーブで流れが強い。顔面で岩を押さえて見事に突破したのだった。

泳ぎは次第に少なくなって、やさしい遡行になる。しかし私の身体は疲労と冷で足のあちこちが吊ったりケイレンしたりする。スピードが次第に遅くなる。

小又沢の出合いに着いたのは16時であった。
すでに先に着いてテン場の設営をしている南谷さんより「晩のおかずに10匹ほど釣って来て!」と注文を受ける。
私にとって、10匹はかなりのプレッシャーである。出合付近をテンカラで攻めても、出ないし釣れやしない。あせる私は蠅たたきのように毛針を打つ。20分もして、やっと2匹の中型イワナを仕留めそそくさ引き返した。
手持ちのツマミとビールで乾杯!冷やの日本酒が実に旨い!
着替えを急いで済まし、飯を炊き、暗くなった河原でイワナをさばいた。タープに戻ると南谷さんは疲れで居眠りされている。
私は深山幽谷にどっぷり包まれた快感でしみじみ酒を飲んだ。しばらくすると南谷さんが「寒い寒い!」と起き上がる。暖かいスープを進め・・・談笑してたら21時頃だったか?今度は私が快適に入眠してしまった。

2日目(曇り、一時小雨のち晴れ)

朝より焚き火を点け行動開始。ご飯も焚いて、南谷さんより男の握り飯を作って頂く(実際はとても繊細なおにぎりであった)。
8時半頃。上流へ二手に別れ釣り上がる。私は本流を行く。「泳ぎなしで、ヘツリで行けるヨ!」との筈だった。が、30分もすると容赦なく首まで浸かり、ず ぶ濡れとなる。難しくはなかった。そんなトロ場で習いかけのルアーをやってみる。もたつきながら案の定、ラインのセットを間違えた・・・やっとの事でル アーが、前に飛んだ。前方よりイワナが2匹こちらに泳いで来る。ルアーを追って来たのだと理解出来た。始めてだ。ただしフックに掛けるには未熟であった。 あげくにその後ロットの先を岩に擦り欠損してしまう。(ああ、みじめ!)

雨がぱらつき肌寒い。前方に滝が観えて来る。近付くと右岸より落ちるヤナガシュク沢(西沢)の美滝であった。森がこのあたり身近に迫る。


テンカラで釣り進むのだが、水中に毛針が沈むとやっと食いつく傾向で、面白味に欠ける。なんとなくイワナの活性も秋の気配に移ってしまったみたいだ。


下の矢羽津沢の前後では巨岩が点在し緩いトロがあったりする。水量は細りイワナは走るが小型である。ここにて今度はテンカラ竿が折れてしまった。代え竿を出したが、上の矢羽津沢で時計の針が15時となり、引き返す事にした。

[余談ですが、当初自分としては東又沢出合まで着いたと、地図で確認したつもりが、自宅に帰って考えてみると。・・・あそこの出合が(上段2枚の画像)上の矢羽津沢か東又沢の出合なのか自身もって言えないので、あしからず]


戻ると17時となり、谷間のテン場は暮れるのが早かった。夕飯の準備を急ぐにも、なかなかはかどらない。手持ちの食材は、もう一日分以上も残っていたし南谷さんの作ってくれたイワナ料理を摘むと、不足はなかった。酒は余りそうだ・・・
予定は3泊のつもりであったが、明日帰る事に決めた。私は充分満足だった。

ところで小又沢については、入渓し直ぐに廊下帯があり、高巻きか泳ぎの通過を余儀なくされるらしい。その後、水飛沫を立てる小沢と、同じ左岸に清水沢があり、清水沢には入ってみたがイワナはいない様子との事。また、魚止めの手前より引き返したそうだ。

3日目(晴れ)

風が夜半から強く、タープをばたつかせた。遥か上空にうろこ雲が観られる。
今朝も2合のご飯を炊き、弁当を作った。朝食にはラーメンを食べる。食器を仕舞わないと片付かなかった。
10時半、風はすっかりなくなり爽やかで、下降を始める。

振り向いて見れば、この小又沢のテン場は増水したら危ない所である。しかし、ここに代わる適地は見当たらなかった。
下降ルートに至っては、来た路(沢通し)を忠実に帰る事。雨による増水だからとエスケープルートはないと割り切るべきだろう。

泳ぎ下れるところは積極的に泳ぎ、順調に進んだ。考えてみれば、くねくね続く岩壁の廊下内も高い滝は見当たらない・・・。ただ、小滝であっても深い釜や淵を形成し、危険で嫌らしい渦巻きが存在する。それだから、ワシガ沢の出合付近に関しては泳ぎ下るにのをちゅうちょした。

ワシガ沢より下流は、廊下や長い淵で水流が弱くなり浸かってる時間が長くなる「寒い、いい加減にしてくれ!」と叫んでしまう。そうこうしてると「音滝」が間近になって、溪から上がらせてもらった。
しばらく歩くとこんどは汗がジワジワ出て来てしまう・・・

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*ヤマボウシ(山法師・山帽子)
ミズキ科の落葉高木。山地に自生。
私は何処かの庭先で見たが、山で自然に成ってる果実は始めてだった。紅赤色でミラーボールみたい、食べたら甘くサルナシ以上に美味しかった。

 


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