'03/06/21〜22 泙川三重泉釣行


'03/6/21(土)〜22(日) 全日本暇人協会
新発田 悟(L)
坂本 隆彦



'03/06/21(土) いざゴルジュの中へ


 金曜夜に会長宅に集合し出発。朝3:00には入渓点に着き仮眠を取る。

 5:00、別働隊の会長達と分かれ、新発田氏と坂本はいよいよ三重泉へと突入した。

 最初の堰堤を右岸から巻き、次の堰堤を左岸をへつって越えると、谷はだんだん狭くなり険谷の様相を呈してくる。渓相は良いが、足元に走る魚影は今一つ見えない。

 最初のゴルジュを左岸から巻く。垂直に近い崖を木の根を掴みながら登り、下降は張り巡らされたトラ縄を辿って降りる。腐った木の根も多く、悪い。
 落石に気を付けながら沢に下り、少し行くと第二のゴルジュ。

 右岸にさも「登ってください」とばかりに残置が見えるが、そっちは悪いと読んで左岸に巻き道を取る。
 が! こちらも悪い! 落ち葉の厚く積もった斜面はズルズルと滑り、上へ上へと追いやられる。川の音が遠くなり、ザイルを出して高度を下げながらトラバースする。時折テープがあるが、道らしきものは見当たらない。
 いいかげんイヤになった頃、立ち木に下降点らしいシュリンゲが掛かっており、下は約20mの岩壁。ザイルが20mしかないので、支点を探しながら3ピッチの空中懸垂となった。

 やっとこさ沢に下り、渓相が良くなったところで竿を出す。
一投目から来た! チビイワナだ・・・・7寸無いくらいか。
二投目にも水飛沫! またチビだ・・・・・・。

魚影は非常に濃いが、サイズが控えめ過ぎる。せめて8寸無いとな〜、と思っていたら、新発田氏が8寸を掛ける。深い所には大きいのがいるじゃん。よし、大場所狙いだ!

 渓が階段状となり、淵が続くが、魚信がないまま先に進み、第三のゴルジュの入り口で粘っていたら、沢屋さん4名に追い越された。

 少し時間をおき、左岸の巻き道を登ると、10mの懸垂だった。ザイルはダブルで10mしか届かないからぎりぎりだったが、何とか降りられた。支点の位置 が悪く、新発田さんが振り子のように滝の落ち口まで振られてしまい胆を冷やすが、振り子は原理的に戻ってくるものなので新発田さんも無事戻ってきて事無き を得た。

 前方では、沢屋さん達がツルツルの岩を越えようと苦労していた。何名かが上に登り、シュリンゲを垂らすが、下は胸までの立ちこみであり、踏ん張る場所もなく苦労している。
 沢屋さんが全員登った後、我々はどう上ろうかと思案していたところ、彼らの1人が「お待たせしてスイマセンでした。引っ張りましょうか?」 とザイルを出したまま待っていてくれている。

 
何て良い人たちなんだ!

 まず新発田さんがあがり、ザックを二つ引き上げてから坂本が上がる。ザイルをハーネスに掛け、右手でチョックを探りながら、上から垂らしてくれるシュリンゲを掴み、エイヤエイヤと這い登る。いや引きずり上げられる(^^;

「ありがとうございます、どちらの会の方ですか」
「わらじの仲間です」
「あ、若林さんのところですね。僕らは暇人協会って言うんですけど」

そんな会話を交わし、前後しながらしばらく一緒に遡行する。
 あとで調べたところ、この人達はわらじの仲間の岡村さん、矢野さん,三好さん,矢本さんだと言う事が分かった。

 5m程のハングした岩があった。右岸から巻こうとしたら、先行したわらじの人が岩の上から、
「確保しましょうか?」
引くに引けなくなって、ハングを登ることにした。まずは新発田氏がちょっと苦労して登り、次に坂本。
時間を掛けすぎて、途中で握力が無くなり、
「新発田さ〜ん、テンションお願いします。もっと張ってください、もっともっと!」
と騒いで、イモムシのようにずり上がった。ああ、腕がだるい。

 滝ノ沢までわらじの人達とご一緒し、先行してもらうことにする。ゆっくり休んでから、時折竿を出すが、今一つ魚信がないまま時間が過ぎる。また6〜7人ほどの沢屋さんの集団に追いつかれ、一言二言話す。後で聞いたところ、彼らは梁山泊の人達だった。

 程無く広河原に出た。暗いゴルジュからいきなり明るい広河原にでると、まるで地獄から天国に上がったような気分だ。さっきまで寒くて震えていたのが、ウソのように今度は暑くて汗が吹き出てくる。

アザミ沢出会いまで行き、ちょっと戻って腐った釣り橋の下でテン場を作る。タープを張り、流木を集めて焚き火を起こすと、もう暗くなった。豊富な流木に豊富な食材でゆっくりと眠くなるのを待つ。
 新発田さんが、おつまみカツを出汁で煮て卵を落とし、カツ丼を作った。源流でカツ丼が食べられるとは思っていなかったが、ちゃんとカツ丼なのだ。ナトリのおつまみカツ、憶えておこう。

 トラツグミの鳴き声が響く中、ヘッ電を消して焚き火の明かりを眺めていると程無く眠くなり、ぐっすりと眠った。


三重泉橋で別働隊の会長と

河原に落ちていたカモシカの脚

ゴルジュのはじまりだ

右岸は悪いと思い、左岸を巻いたのだが・・・

 巻き道途中で見た「ギンリョウソウ」

3ピッチの懸垂を終えた

チビイワナばかり毛鉤に飛びつく

新発田さんが8寸を掛けた

ツルツル岩を登るわらじの人達

橋に見えるが、「壊れた堰堤」

タープを張って、今夜のネグラ

新発田さん手製の、特製カツ丼

'03/06/22(日) 悪い高巻き

 疲れもあって、目覚めたら7:00であった。朝飯のラーメンをすすりながら帰りのルートを新発田さんと話し、釣りはしないでこのまま下降することにした。

 10:00にテン場をたち、そのまま下降開始する。

 滝ノ沢まで約1時間、一休みして先を急ぐ。
 前日、ザイルを張りながら通過したイヤらしいバンドを下降しようとしたが、古い白縄に体重をあずけるのがイヤで懸垂することにした。
 滝上のデカイ流木にシュリンゲをプルージックにかけ支点とし、滝に沿って懸垂し水面近くでトラバースして河原に立つ。

 やがて、懸垂で越えた滝上に来た。帰りはそこを登らなければならないが、悪い。途中までトラロープが掛かってるが、あまり役には立たない。上のほうに残 置ハーケンが見えるが、位置が悪く掴めそうも無い。と言うか、掴める位置まで登ったらそのまま上まで行けそうだ。
 確保無しで10m登るのはイヤだったので、しばらく逡巡したあと、滝をクライムダウンすることにした。
 まず坂本が途中まで降りたところ、挟まった流木が良い足がかりになり難なく降りられた。
 2人分のザックを滝壷に下ろし、カラビナで繋いで泳ぎ出した・・・・ありゃ、足が着くじゃん!
「新発田さ〜ん、足がつくよ〜」と叫び、歩いてゴルジュを突破した、つべこべ考えずに、最初からこうすれば良かったんだ。

 次のゴルジュまでを快適に飛ばす。長い木の幹が、雪渓に逆さに刺さっているのを見つけた。いったいどうやって刺さったんだか。斜面の上から滑り降りてきて、頭から刺さったのだろうか?
 不思議な事もあるものだ。

 やがて、巨大なチョックが谷に挟まっている場所を過ぎ、右岸から小さく巻こうとしたところ、ガレた斜面の途中にケルンを見つけ、そこからトラバースすることにする。思えばこれが間違いだったか

 カレ場はすぐにズルズルの落ち葉の斜面に変わり、下がるほど斜面が立ってくる。上へ追いやられたところトラ縄が張ってあるのを見つけたが、上のほうからU字型というかJ字型に垂れ下がっており、どういうルートを想定して張ったのかよく分からない。
 足元はいよいよ悪く、立っているだけで落ち葉ごとズルズル落ちていく。落ち葉がはがれたあとにはツルツルした岩の斜面が現れる。
 危ないと判断し、ザイルを出して確保ながら、交互にシャクトリムシのように進んでいく。速度は下がるが、これなら落ちても止まる。

 やがて谷が開けて来て、下へ向かうトラ縄が見えた。それは、往路でいかにも登ってくださいと云わんばかりの斜面に掛かっていたトラ縄だった。
 斜面をズルズル滑り降り、やっと沢に下りた。長い高巻きで足首に力が入らない。

 少し休んで先を急ぐ。時間を掛けすぎて、このままでは到着する頃には暗くなりそうだ。

 最後のゴルジュ。ガレた斜面を這い登り、意味があるのだか無いのだか分からないトラ縄に絡まりながら巻き、最後はクライムダウンする元気が無く、懸垂下降した。

 やがて見えた堰堤を越えると、橋が見えた。やっと着いた。あー疲れた。時刻18:30。

 橋には置手紙があり、別働隊の下田会長が何度か行ったり来りしていた事が分かった。事前の打ち合わせが悪く、待ち合わせの時間が食い違っていたのだ。

 とりあえずサンダルに履き替え、ヘッ電を点けて車を待つ。地元の釣り人が通りかかり、色々話し、車を見かけたら橋で待っている事を伝えて欲しいと頼んで分かれた。
 まわりにヨタカが舞い遊ぶ中、1時間程待って、林道にライトの明かりが見えた。会長達の車だった。会長は、帰着が遅い我々を心配して通りかかった沢屋さん達を片っ端から捕まえ、
「こういう2人組みを見なかったか」と聞きまくったそうだ。

 その中にはわらじの仲間や梁山泊の人達のパーティもあった。皆さん、ご心配をおかけしましたが無事帰着しました。この場を借りてお礼とお詫びを申し上げます。

 今回の釣行では、怪我や事故こそ無かったものの連絡、打ち合わせの悪さから随分と皆に心配をかけてしまった。互いの予定を勘違いしていたら、事故で停滞したのが予定通りなのかさえ判断がつかない。
 仕事中の仲間にも随分サポートしてもらった。大沢君、齋藤さん、黒田さん、沖田さん、どうもありがとうございました。
記:坂本


快晴の朝

えいやとパッキング

滝ノ沢を見上げる

バンドを這って白縄を掴むも、不安なので懸垂した

意味の無い残置に騙されないように

往路はここを懸垂した

素晴らしいゴルジュ

クライムダウンしたら、滝壷は足がついた

雪渓に刺さった不思議な木の幹

巨大なチョック。このあと悪い高巻きに突入する。

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